京都大学研究、周産期うつを予防するアプリとは?
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こんにちは。一般社団法人全国産前産後バースケアラー協会では
産後うつ予防のために産前からの産前産後ケアを大切にしています。
産前から様々な職種アプローチ、ケアを行うことでママやご家族が産後うつを予防しながら産後も自分らしい健やかな子育てを行うことができます。
協会では、教育機関、企業、行政とも連携しながらママやお子様達の心身の健康や未病予防に取り組んでいます。
今回は周産期うつを予防するための京都大学の研究をご紹介いたします。
喜びのそばにある、周産期のメンタル課題
うつ病は「予防可能な病気」と認識されるようになってきました*1。しかし、世界中で今もなお、うつ病や自殺は大きな課題として残っています。周産期も例外ではありません。妊娠や出産は喜ばしい出来事ですが、心がいつも明るいムードでいられるとは限りません。体の変化、睡眠不足、生活環境の変化、人間関係の揺れが重なり、心が追いつかなくなることがあります。
つらくなる前に備える、予防という視点
実際、妊産婦さんの約7人に1人が周産期にうつを経験すると推定されています*2。つまり周産期のメンタル不調は「特別な人の話」ではなく、誰にでも起こりうる前提で備えるテーマだといえます。ここで重要になるのが、「つらくなってから何とかする」だけではなく、「つらくなる前から備える」というアプローチです。近年、リスクの高い妊産婦さんへの予防的カウンセリングが、うつの発症を減らす可能性を示す研究が積み重なり、とくに認知行動療法を軸とした介入に関する知見が増えてきました。
忙しい毎日でも届く支えとしてのデジタル介入
ただ、予防の重要性がわかっていても、妊婦健診などの限られた時間のなかで、すべての方にカウンセリングを行うのは簡単ではありません。そこで支援を届けるために注目されているのが、スマートフォンやウェブを使ったデジタル介入です。必要なときに、生活の中で、自分のペースで取り組めることは、周産期という忙しく変化の大きい時期にとって大きな意味を持ちます。
私たち京都大学チームは、一般成人5,300人を対象にスマホ介入の世界最大級の臨床試験を実施し、6週間の認知行動プログラムが抑うつ・不安・不眠、そのほか仕事のパフォーマンス、幸福度などが改善した。さらにその効果が1年後も持続していました*3。
スマホアプリ「ライジングかあさん」が目指すもの
こうした知見を土台に、周産期の女性に向けて開発したのが「ライジングかあさん」です。現在、妊娠10〜20週の女性約1,600人を対象に臨床試験を進めています。心理教育に加えて複数の認知行動プログラムを比較し、「どんな人にどんなプログラムが効果的か」を丁寧に確かめていきます。レッスンは6週間で、産後6か月まで心の変化を追っていきます。

あなたの参加が変える未来
研究ウェブサイトから申し込み、約30分のオンライン説明会に参加して、プログラムをスタートします。皆さんの協力が、周産期のメンタル不調を「起きてから対処する」時代から「起きる前に備える」時代へと一歩となります。ご自身のために、そして未来のお母さんと赤ちゃんのためにご協力をお願いいたします。



〈参考文献〉
*1 Herrman H, Patel V, Kieling C, et al. Time for united action on depression: a Lancet-World Psychiatric Association Commission. Lancet. 2022;399(10328):957-1022.sa
*2 Tokumitsu K, Sugawara N, Maruo K, Suzuki T, Shimoda K, Yasui-Furukori N. Prevalence of perinatal depression among Japanese women: a meta-analysis. Ann Gen Psychiatry. 2020;19:41. Published 2020 Jun 26.
*3 Furukawa TA, Tajika A, Toyomoto R, et al. Cognitive behavioral therapy skills via a smartphone app for subthreshold depression among adults in the community: the RESiLIENT randomized controlled trial. Nat Med. 2025;31(6):1830-1839.
〈筆者情報〉
豊本莉恵
医学博士・助産師。京都大学大学院医学研究科 健康増進・行動学分野 特定助教。国立成育医療研究センター共同研究員。周産期ケア・メンタルヘルスに関する研究に取り組むかたわら、助産師として現場での実践も継続している。


